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【SVダブル レギュC】ステロ→ハバユイorハバギシリ【PJCS2023本戦/ライブ大会 世界大会権利獲得】

 こんにちは、conaです。今回はPJCS2023本戦以降に使用し、追加開催本戦を8-2 1585で突破、ライブ大会においては2-2で世界権利を獲得した構築の紹介です。

 追加開催本戦において、同じ構築を共有したクロ(@f_kc56)は最高1566、ミゲルさん(@nyannyannika)は最高最終1580と、惜しくも本戦突破はなりませんでしたが、全員が高水準の成績を出すことができていました。※ボーダーは1581

 構築経緯がかなり長くなってしまいましたが、ステルスロックハギギシリなど、珍しい要素が採用された経緯がわかりやすく理解できるように書きましたので、興味を持って読んで頂けると嬉しいです。

<目次>

 

1. 構築経緯

1-1.イーユイ+ステロ展開の決定、仮組みまで

 本戦に向け既存にないアーキタイプを生み出すことを目指して色々なマイナーポケモン、組み合わせを試し、廃案を量産する中で、やはりレギュレーションCは厄災を補完でいれるより厄災を軸に構築を組んだほうが強いと思い(バカみたいな気付きですが)、まずは使いたい厄災を決めようという方針にすることを決意しました。
 そして厄災の中ではイーユイがサイクル戦の拒否性能が高い点で特に自分の手に馴染んでいたのでイーユイ軸でスタート
 イーユイを使ってハバカミを使わないのは意味がわからないので、とりあえずハバカミ+イーユイ(以下ハバユイ)は確定とします。型は色々ありますが、自分としてはレジエレキ+ウーラオスの時代から後発 S操作+高火力の構想が一番使い慣れているので、ハバタクカミの後発Sブースト凍える風を活かした形で組むのはほぼ確定としていました。

 ハバユイを使う上でまず課題になるのが、対パオジアンカイリュー(以下パオカイ)でした。イーユイが神速によって問答無用で倒されてしまう点が特に大きく、立ち回り上不利を背負いやすいです。しかもパオカイはどんなタイプの構築にも入る汎用性の高さがあります。
 現状その対策として用いられることが多いのがギャラドスで、威嚇と縦の相性補完でサイクルを回しつつ電磁波によってイーユイが殴りやすい環境を整えていく構築が結果を残していました。
 しかしギャラドスというポケモンの攻撃技の貧弱さからくるパワー不足、そして10万ボルトハバタクカミ、サーフゴーの流行により安定行動できる場面の減少が大きく、特にBO1の環境では使用する気になれませんでした。
 そこで、別のアプローチのパオカイ対策として注目したのがステルスロックです。以前に、「シングルバトルではステルスロックコノヨザルが初手パオジアンにはドレインパンチが強く、裏パオジアンにはステルスロックで襷を削れ、どんなパオジアン構築にも安定して立ち回ることができる点で評価されている(しかも精神力で氷柱怯み対策になるらしい!)」という話を見たときから、初手のパオカイに対面で戦えるステルスロック持ちを活かす構想が、ダブルのパオカイ対策として成立するのではないかというのはずっと考えていました。

 ステルスロックといえばディンルーですが、ハバユイとの噛み合わせが悪いので一旦除外。シングルの構築記事を眺めて様々なステロ使いを探す中でまず注目したのがサケブシッポでした。ステルスロックに加えて電磁波による盤面作りの能力アンコール+金縛りや嘘泣きによって対耐久ポケモンへ役割を失わない点、そしてこれらを高い耐久と素早さから遂行できる点を評価しました。
 次にサケブシッポの隣に立たせるポケモンですが、上述と同様にディンルーを除外すると、真っ先に浮かんだのがディンルーと対をなすチオンジェンの存在でした。攻撃を下げる効果が対パオカイに噛み合いそうな点やカタストロフィがサケブシッポのできない削りの部分を大きく担える点、自然な案だと考えました。そして初手から繰り出すチオンジェンの型として以前より注目していたのが突撃チョッキ持ちのチオンジェンでした。たまにマッチングしたときに非常に処理に困ったことからチョッキディンルーと同様に、ポテンシャルの高いポケモンであると捉えていたため、とりあえず試してみることに躊躇いはありませんでした。

 こうして先発はサケブシッポ+チオンジェンで出し、ステロ電磁波で盤面を整えつつ、後発ハバタクカミ+イーユイでスイープしていくという構想の下、4体を決めました。
 しかしこの4体だけでは合体非合体に関わらず寿司系統に対するダメージソースが足りないと感じたので5枠目にキラフロルを採用し、毒とカタストロフィを絡めての突破を目指しました。

 

 以上の経緯から以下の5体をスタートとして、試行錯誤を始めることとしました。

 試してみるとステルスロック+ハバユイの構想は想像以上にうまくいき、金脈に成り得る手ごたえを感じました。しかし当然それと同時に課題も多く見つかったため、改善に向けた試行錯誤を始めます。この時、実力と感性が近いクロと、考察力を尊敬するミゲルさんを誘って一緒に構築を練り上げることにしました。

 以下は当時の個体解説と雑感です。

サケブシッポ...技構成の理由は上述の通り。高い耐久と素早さから非常に仕事がしやすく刺さる試合では活躍してくれましたが、サーフゴーに弱すぎる点や隣がチオンジェンであるのもあって嘘泣きがそこまで活きず、高耐久のポケモン相手が想像以上にしにくいことに特に不満が大きかったです。総じて極端に活躍できないマッチアップが多く、軸にすることの難しさを回していくうちに徐々に感じていました。

 

チオンジェン...想像以上に強かったです。サケブシッポに不満が多かったのに対し、チョッキチオンジェンはもっと使い続けたいと思わせてくれました。技構成はぱっと考えて強そうな技を入れてみましたが、まだ改善の余地があるのではないかと思いました。特に不満を感じたのが、パオジアンモロバレルサーフゴーへの遂行手段として入れた炎テラバーストでした。火力不足から遂行しきれないことが多く、何より炎タイプになることで新たな弱点が多く現れること、特にイルカマン系統に裏目になることが不満に感じました。

 

ハバタクカミ...後発凍える風ハバタクカミは前回の構築でも使用しており、非常に使い慣れていたので、細かい数値やテラスタイプの調整はあると思ったものの不満や改善点は基本ないと感じていました。

 

イーユイ...後発のスイープ目的の採用であるため、対面性能を考えて最初は襷での採用でしたが、後述のキラフロルに襷を譲ったため、持ち物を木炭に。耐久に大きく努力値を割き、基本的に1発は何でも耐える耐久を実現しつつ、Cを削った分は木炭で火力を確保することで、襷と同様の使用感を目指した調整を施しましたポケモン自体は強いと感じたものの、横のハバタクカミが凍える風という低威力の技を多く打つことから、瞬間火力の物足りなさを感じることが多く、型を改善する必要性を感じていました。

 

キラフロル...当初寿司系統にのみ選出する予定だったので、合体されても行動保証が欲しいということで襷を確定。キラースピンとニードルガード以外の技は適当に。くらいのテンションでしたが、キラースピン+カタストロフィの相性の良さが凄まじく、回していくうちにみるみる選出率が上がっていきました。当初は当然特性は毒化粧でしたが、選出回数が増えるにつれキラースピンがモロバレルや毒ディンルーに通らないことを不満に思うようになったため、しばらくして特性を腐食に変更しました

 

1-2.キラフロル+チオンジェンへ、補完枠の指針

 最初の仮組みでは、出せない対面が多いサケブシッポが基本選出に組み込みづらい点を一番の問題に感じつつ、チョッキチオンジェンにはかなり可能性を感じていました。そこでサケブシッポに代わるステルスロック使いを探すことにしましたが、耐久が物足りない、削り性能が物足りない、素早さが物足りない、技が物足りないなど、どうしても我儘な欲求を満たすポケモンがおらず、、、となっていたところちょうどキラフロルがステルスロックを覚えることに気付きました

 試運転では思いのほかキラフロル+チオンジェンが想像以上の強さを誇っていました。だったらここにステルスロックを組み込みつつ、さらにこの組み合わせのために型をチューニングアップすれば、良い基本選出になるのではないかと考えました。

 同時に補完枠も決めていきたいです。
 まずキラースピンが通らないサーフゴー、キョジオーンはサケブシッポと変わらず引き続き厳しいです。その他にもミミズズディンルーなど、キラースピンに耐性がありながら、耐久の高いポケモンの突破に苦慮することは多いことは明白でした。そこで、もう一つの高耐久ポケモン攻略方法として、イーユイを何度も動かすというアプローチを取ることにしました。具体的にはイッカネズミを採用し、嘘泣き、この指とまれ、フレンドガードを活かしつつ、イーユイと合わせてダメージレースで優位を取っていく案を実行しました。またワタッココータスの眠り粉も鬱陶しく感じていたため、この指とまれ+熱風によって、安定して手痛い一撃を与えられることも評価しました。

 次に厳しいと感じていたのが、合体寿司と追い風でした。この2つを相手にするには耐久の高いポケモンが足りていません。選出のイメージはキラフロル+チオンジェン→ハバタクカミ+固いポケモン として、条件に合うポケモンが中々見つからなかったのですが、ポケモンセンスのある友人のりおくんからアドバイスを受けて、オボンヘイラッシャの単体採用を決めました。そもそも合体ヘイラッシャを受ける上で特性天然が一番効率が良いこと、またD振り+ヘビーボンバーによって相手のハバタクカミに隙を見せないことが特に評価できた点でした。

 

 以上の考察から組みなおし。またそれぞれの型についても多くの改善を施しました。

 ※重要な変更点を赤字で記載。

キラフロル...上で解説した通りステルスロックと共に基本選出に抜擢しました。チオンジェンと並べると、地面技以外では全く気合の襷が発動しなかったため、攻撃を2耐えする可能性を高めるためにがっつり耐久振りに。地面技はシュカの実で対策しました。懸念だった合体寿司に対しても、キラフロル+チオンジェンの前でいきなり合体してくるプレイヤーは存在しない点、襷は必要ありませんでした。

 

チオンジェン...技構成の大幅な変更、そしてその内容が目を引くかと思います。ただ本筋から逸れた話が長くなってしまうため、一旦こちらについては 2. 個体解説に後述とします。ラスタルは炎の反省を活かして、弱点の少ない水に。キラフロルとの補完を考えると毒ではありませんでした。

 

ハバタクカミ...変更なし。テラスタルを基本切らないのであれば、タイプは草が一番強いと引き続き思っていました。

 

イーユイ...耐久振り木炭に火力不足を感じていた点、イッカネズミでサポートする選出を裏選出とした点、拘り眼鏡によって火力を底上げしました。守るがない点は不満ではありましたが、凍える風+火炎放射のリーチが大幅に伸びたのでトントンというところでした。

 

イッカネズミ...襷が余っていたので、行動保証を付けるため気合の襷。火力補助は怒りの前歯ではなく、嘘泣きをチョイス。命中安定なのが好印象でした。フェイントは対パオジアンで打つことを特に想定しての採用。使用感として、イッカネズミ+眼鏡イーユイ自体は強かったのですが、それ以外の出し方ができない点が不満に感じていました。存在する構築が比較的多様な環境であることを考えると、1枠に求められるべき役割対象はもっと広くあるという感覚があり、変えるのであればこの枠だと考えていました。

 

ヘイラッシャ...先発に出して荒らすことより、後発に出して対面勝ちすることを期待しての採用のため、食べ残しではなくオボンの実。当初想定していた対追い風、寿司に対する性能は十分にあり、持ち前の耐久力と欠伸でそれ以外の一部のマッチアップにも誤魔化しを効かせることができる点、イッカネズミと比べると評価はかなり高かったです。

 

1-3.構築の仕上げ、ハギギシリ採用へ

 この時点でも構築としてはまあまあな出来だったので、課題の整理もしやすかったです。イッカネズミの枠を変える方針を取りつつ、以下の2点に課題を絞り込みました。

イルカマン、ハッサムが厳しい。ハバユイの行動が著しく制限される。

後発のチョッキテツノカイナやディンルーが厳しい。ハバユイの通りが悪い相手の後発がどうにも厳しく、ハバカミと合わせられる強力な物理打点の必要性を感じる。

 イッカネズミ選出に対処を頼っていたイッカネズミ系統及び晴れに対しては、回していくうちに他5匹でも対応可能だと気付いたため、とりあえず上記2つの課題をとにかく解決しようという方針になりました。

 ①の解決を考えた時に、真っ先に浮かぶのが先制技無効化特性です。しかしリキキリンは素早さが構築に合わず、アマージョについても素早さがあと一歩足りない上、技範囲や火力についても物足りない、、、ということで悩んでいたところ、もう1匹の先制技無効ポケモンの存在を思い出しました。

 それがハギギシリです。元々ウェーブタックルという技自体を非常に評価していて、ポケ徹で度々ウェーブタックルを覚えるポケモンを調べていたので、ハギギシリがウェーブタックルを覚えること、AとSに関してはそこそこ悪くない数値を持っていることは知っていました
 実際によく調べてみると特に目を引いたのが、S種族値92。補正をかけずとも実数値144を出すことができ、これは凍える風ハバタクカミを使う上でどうしても満たしたかった-1ハバタクカミ抜きを容易に実現する数値です。A種族値は105ですが、補正をかければ実数値で172。ウェーブタックルの技威力と持ち物補正を考えると、十分な単体性能を感じました。不安な耐久も上から殴って倒せそうなポケモンが多いので問題なし。当然先制技は受けないので凍える風と合わせればほとんどの対面で上は取れます。
 エスパーという技範囲が偶然②の課題も綺麗に解決していそうです。イーユイとハバギシリを使い分けることで多くの構築に対応できそうと感じました。

 ということで、早速クロに試運転させたところ、すぐに「強い」というフィードバックを得ます。自分でも使ってみたら本当に強くて2人でめちゃくちゃ笑ってました。その後、ミゲルさんにもアイデアを共有。最初は半信半疑だったものの最終的に「文句なし」とのお言葉を頂きました。

↓平日昼はクロに試運転とフィードバックをしてもらっていました。ハギギシリ採用時のフィードバック。

ハギギシリって昔使われてたんかな~って「ハギギシリ ダブル」で調べようとしたらこれ

 イッカネズミoutハギギシリinに合わせて、イーユイの型を変え、以下のように構築が完成しました。

チオンジェン....変更なし。この技4つが決まってから1回も技構成で悩むことはなかったです。

 

キラフロル...技と持ち物はずっと同じでしたが、耐久をBDどちらに寄せるか、素早さはどこまで取るべきかで苦心を重ねていました。

 

ハバタクカミ...変更なし。

 

イーユイ...イッカネズミがいなくなったことで、眼鏡である必要はなくなり、襷が余りました。当初からずっと悩みに思っていた瞬間火力の部分はオーバーヒートを採用すれば解決できるのではないかと気付き、襷+オーバーヒートでの採用に至りました。

 

ハギギシリ...一方的に相手を倒すことでしかこのポケモンが生存する術はないので、珠での採用。技は自然に一致技を採用し、悩む余地もなかったです。テラスタイプ飛行はミミズズディンルーを意識しての選択でした。詳細な理由は個体解説で後述。

 

ヘイラッシャ...テラスタイプについて、第1回本戦では草でしたが、再開催本戦では毒にする変更を加えましたハバユイツツミに対処しやすくすることが目的です。それ以外で特に不満はなかったので変更はありませんでした。

 

 上でも書きましたが、ハギギシリは採用してすぐに強さを感じさせてくれ、これまで手の届かなかった部分もほぼすべて解決してくれていたので、一気に構築が完成したという実感を得ました。

 長くなりましたが、構築経緯は以上です。

 構築のポイントは以下の3点。

①基本初手キラフロル+チオンジェンで、削りとステルスロックで場作り。

②裏からはハバタクカミ+イーユイ、またはハバタクカミ+ハギギシリで対面勝ちしていく。

③合体寿司や追い風をはじめとした苦しいマッチアップはヘイラッシャで誤魔化す。

 

 構築経緯で書ききれなかった個体の詳細について、次項で解説していきます。

 

2. 個体解説

 ※パーティ画像を再掲。

キラフロル@シュカの実 

特性:腐食 草ラスタル
189-67-111-151-128-123 (穏やか H244 B4 C4 D124 S132)
キラースピン/パワージェム/ステルスロック/ニードルガード

・毒化粧は発動してもカイリューにダメージを入れられない点、そこまで強力ではないと判断しました。それよりもモロバレル、毒ディンルーにも安定してダメージを稼げる腐食が有用でした。

・チオンジェンとシュカの実のおかげで、基本的にどんな攻撃も1発耐えてくれるのでテラスタルは基本切りません。一応対モロバレルで草テラスタルは切る機会があったので、飛行や水テラスも考えてはいましたが結局ずっと草のままでした。

・調整は何意識かというと、HDラインがツツミのハイドロポンプで乱数1発(37.5%)。ハイドロポンプの命中やテラスタルを警戒してそもそも打ってこない可能性を考えると、ツツミの前で迷わず動けるものと捉えていました。Sは初手のナイーブイルカマンに対して、ウェーブタックルを打たれる前に動きたいことを考えると無振りイルカ+3くらいが最低限欲しいラインで、まだまだ耐久値が欲しいところでしたがこれ以上は努力値が足りませんでした。

 

チオンジェン@突撃チョッキ

特性:災いの札 水ラスタル
192-x-154-116-156-102 (図太い H252 B156 C4 D4 S92)
リーフストーム/カタストロフィ/ボディプレス/マッドショット

・技について、カタストロフィ以外は全て違和感を持たれると思うので、個別に解説します。
 リーフストーム...全体としてテツノツツミが重く、チョッキ込みで安定して行動保証を持てるこのポケモンで対面したときにしっかり処理できる必要がありました。基本的に削りにはカタストロフィを打つため、瞬間火力意識でギガドレインではなくリーフストームを選択。

 ボディプレス...初手にパオカイと対面した時にキラースピンと合わせる攻撃でパオジアンを倒したかったための採用です。当初は炎テラバーストで同じことをしていましたが、水テラスタルに変更したのでそれは不可能になりました。リーフストームや花粉団子で倒せないかは考えましたが、必要なCが高すぎたので自然とボディプレスになりました。リーフストームを打った後でも継続して技を打てたり、触りにくいドドゲザンへの強力な打点になったりと副次的な効果も大きかったです。

 マッドショット...当初はサケブシッポの電磁波でS操作をしていましたが、リストラにより、前でS操作をする要素がなくなってしまいました。S操作がないと一番困るのが、相手の速いポケモンに対してキラフロルの行動回数が1回分減る→ステルスロックが打てなくなることでした。そのためS操作は必須だが、チオンジェンにそんな技は......と思いながら探したところ、この技がありました。もちろん技としては凍える風の劣化ですが、それでも細かいS操作技はイーユイとも相性が良いため、見た目以上に有用でした。

 上記3つの技がないと成り立たないことが多く、悩んだ末にイカサマやバークアウトを外す決断をしました。特にイカサマに関しては当初入らないわけがない技だと思っていましたが、使っているうちにイカサマがないとどうしても困る相手がウインディガブリアスくらいだと気付いたことで不採用に至りました。

・Sを-1最速キラフロル抜き。相手の初手キラフロルに対してマッドショットから入りたいのでこのSラインでした。余りは対パオカイを意識するとHBに寄せる必要があり、振り切りました。そうでなくてもこれ以上のDは過剰でした。

・テラスタル前提ではありますが、出せば必ず仕事をするため、選出率は非常に高かったです。選出段階ではチョッキを前提に処理ルートを組まれることはないため、こっちの思うゲーム展開に持ち込みやすいことが強さの本質と捉えています。一方カタストロフィ以外で火力は出ないので、後発で出すことはほとんどなく、チョッキ持ちでありながら選出と立ち回りが窮屈なところに弱さを感じることもありました。しかしキラフロルと合わせて間違いなくこの構築の中核を為すポケモンでした。構築の初期段階でこのポケモンに気付いたために、技と調整を長時間煮詰められたのは幸運だったと思います。

 

ハバタクカミ@ブーストエナジー 

特性:古代活性 草ラスタル
143-x-76-185-156-193 (臆病 H100 B4 C236 D4 S164)
ムーンフォース/シャドーボール/凍える風/守る

後発で出して横のポケモンが殴るためにS操作のサポートを入れてあげるのがメインの役割です。やりたいことは前回の構築から、何ならレジエレキの時代から変わりません。

・テラスは草です。基本的にイーユイチオンジェンにテラスタルを切るのでそもそもハバタクカミにテラスを切る機会があまりないのですが、稀にテラス権が残った時に有効なのはと考えた時に草が一番評価が高かったです。水テラスは鋼半減でサーフゴーに強いのが魅力ですが、それ以外で草に大きく勝るポイントはないと思うので、モロバレル無視とヘイラッシャの地震半減が大きい草の方が評価が高いです。←前回の記事から引用 😉

・調整ですが、後発でイーユイと並べる構想のため、ハバタクカミミラーを強く意識し、耐久を犠牲にしました。災いシャドーボールで相手のハバタクカミ倒せるCと、Sブーストミラーで絶対に勝つSが欲しかったです。ただパオジアンの陽気不意打ちは耐えないと話にならないので流石にそこまではHBを確保した後、残りをCSに回します。そしてミラー意識のSから調整するため、数値が公開されているSブーストハバタクカミを探したところmumemoさんの記事のものが目についたので、こちらのハバタクカミ+3にSを設定しました。抜き抜きまではいても抜き抜き抜きはいないだろうという見立てです。ミラーに絶対の自信を持つなら最速が欲しいですが、実際Sブーストミラーで素早さ負けをした記憶はないのでちょうど良いラインだったように思います。Cも十分高いラインを確保できた(災い込みシャドボで144-156のハバカミまで確定1発)ので、かなり納得がいく調整になっていました。

 

イーユイ@気合の襷 

特性:災いの珠 霊ラスタル
131-x-100-205-140-152 (控え目 H4 C252 S252)
熱風/オーバーヒート/悪の波動/守る

・結局普通の襷アタッカーになってしまったのであまり語ることもありません。オーバーヒートには当初の狙い通り必要な瞬間火力を担ってもらえました。凍える風+オーバーヒートで多くのハバタクカミが落ちるのが特に大きい。

 

ハギギシリ@命の珠 

特性:ビビットボディ 飛行ラスタル
144-172-90-x-90-144 (意地っ張り H4 A252 S252)
ウェーブタックル/サイコファング/アクアジェット/守る

ハバタクカミ+ハギギシリが相手の後発パオカイを封殺しますステルスロックを撒けていればまず負けませんし、ステロがなくてもハギギシリはパオジアンにタイマンで勝てるので立ち回りに幅もあります。

・イルカマンに対しても非常に強い。何が良いかというとモロバレルに弱点をつける打点があることです。水ケンタロスやヘイラッシャではジェットパンチの一貫が切れてもモロバレルの対処が難しいのですが、ハギギシリならジェットパンチを禁じつつモロバレルを倒しに行けます

後発ディンルーに対して打点が持てるポケモンとしても優秀です。テラスタルを残されていても毒テラスなら弱点がつけます。環境全体としてエスパー打点に対する意識は確実に薄いので、相手からすると地味に受けづらいポケモンであるように思います。

当然アクアジェットという技も強いです。無振りハバタクカミに51.9 ~ 62.5%のダメージと、ハバタクカミの処理ルートに幅を与えてくれました。

飛行テラスタルは上述した通りミミズズディンルーを意識しての採用です。イーユイハギギシリと出して、守る+飛行テラウェブタ(ミミズズ方向)と打つと、炎テラスをするミミズズを倒しつつ、地震は完璧に透かせるというハメ方をできます。一応水テラスなど他の候補もありましたが、これ以外でミミズズディンルーへの対処ができないのでずっとこのままにしていました。

 

ヘイラッシャ@オボンの実 

特性:天然 毒ラスタル
248-143-136-x-116-56 (意地っ張り H180 A76 B4 D244 S4)
ウェーブタックル/ヘビーボンバー/欠伸/守る

・採用理由や強みは構築経緯で解説した通りです。地ならしや怖い顔の採用も考えましたが、ハバタクカミを安定して処理できるヘビーボンバーの評価が高く、他の技についても外せませんでした。

 

3. 選出・立ち回り

・基本選出/

 キラフロル+チオンジェン → ハバタクカミ+イーユイorハギギシリ

 -初手にキラースピン+カタストロフィから入ります。キラフロルの行動回数を稼ぎたい場合はカタストロフィに代えてマッドショット。

 -相手にパオカイが見えている場合はなるべくハギギシリを出したいです。ただハギギシリは隣にハバタクカミがいないと全く仕事ができないことが多いので、それ以外だと基本的にはイーユイを出す方が後悔はしにくいです。

 

・寿司 /

 キラフロル+チオンジェン → ハバタクカミ+ヘイラッシャ

 -合体寿司の可能性がある場合はこの選出。合体をされてからはヘイラッシャの天然と欠伸を活かしてターンを作っていきます。仮に合体をされなくても活躍できるのがヘイラッシャの強みでもあります。

 -初手にハバタクカミが出てくる場合以外はチオンジェンに切るテラスタルを温存できるので、その分はハバタクカミに草テラスを回せると合体ヘイラッシャに対する行動回数を稼げて嬉しいです。

 

・追い風  / 

    /

 ヘイラッシャ+チオンジェンorキラフロル → ハバタクカミ+イーユイ

 キラフロル+チオンジェン → ハバタクカミ+ヘイラッシャ

 -ヘイラッシャの欠伸を活かして追い風ターンを上手く管理していきたいですが、基本的に後手に回る展開になるため、予想外の変数が多く、厳しい戦いになりやすいです。

 

ワタッココータス /

 ハバタクカミ+ヘイラッシャ → イーユイ+キラフロル

 -初手ワタコーに対して、凍える風+欠伸(コータス方向)で脱出パック先に対して欠伸を入れられるように......とは考えていますが、眠り粉は当然対策できず、そもそも炎トドロクツキがパーティ全体としても非常に厳しいので、追い風以上に明確に不利なマッチアップです。

 

・イッカサーフ  /

 イーユイ+チオンジェン → ハバタクカミ+ハギギシリ

 -熱風+リーフストーム(サーフゴー方向)。水テラスをカモって勝ちです。

 

・イッカコノヨ /

 イーユイ+キラフロル → ハバタクカミ+ハギギシリ

 -キラフロルのSを早めにできているので最低でもキラースピンは入れられる想定です。毒と熱風でダメージを稼ぎつつ、コノヨザルを倒しやすい環境を整えていければいいです。ネズミ斬や格闘技の対策になるので、迷わずイーユイはゴーストテラスタルを切っていました。

 

 

4. 終わりに

 今回の構築はチオンジェンの型、ステルスロック+イーユイの構想、ハギギシリの採用と、自分が自信を持つ構築作成時の視野の広さをこれでもかというほどに活かせた構築で、この構築をポケモンに復帰してからの3年間の集大成とも捉えていたので、こうして世界権利を取れた構築として記事を書けたことが本当に嬉しいです。

 以下スペシャルサンクスです。力になってくれて本当にありがとうございました。

・俺が仕事で動けない平日昼の間ずっと試運転をしてくれたクロ。出すフィードバックの質も高く、今回の構築作成のMVPでした。

・構築作成時には視点の違うアイデアをくれ、本戦前にはダメージ計算表を作成してくれたミゲルさん。尊敬するプレイヤーの一人だったので今回一緒にプレイ出来て嬉しかったです。

・ヘイラッシャのアイデアをくれたりおくん。ユナイトで仲良くなっておいてよかった。

・毎度のこと育成を手伝ってくれ、色証ハギギシリ(やるきゼロのハギギシリ)をくれたクロサナ。でもハギギシリの色違いは本当に気持ち悪いよ。

・応援してくれた皆さん。特に配信卓にあがった時のリプライには元気をもらいました。

 

 ここまで読んで頂きありがとうございました。世界大会でも頑張ります。

 

 

5. (余談)配信卓の試合解説

www.youtube.com

 配信卓出てました。初戦の卓に到着してすぐにスタッフが来て「こちらが配信になりますので.......」と言われて横転。いつか配信卓は映りたいとずっと思っていたが、初戦は本当に聞いてない。それでも配信卓乗れるのは願ったりかなったりなので、緊張が増すというよりはむしろほぐれたように感じる。

 以下各ターン解説。いちいち盤面の情報書くのも面倒なので、録画を見ながら読んで頂ければなと思います。

 

・選出

 イエアルマ。困った。イーユイがいるので不利なマッチアップではないが、チョッキやオボンなどの対イエアルマで安定する型ではないので難しいところも。

 イーユイを初手に出すと相手の初手のトドロクツキが非常に厳しい。そうでなくても容易に想像できるこちらの初手イーユイを自慢の対策でハメられるのが一番まずい。ということで初手にはイーユイを出さない。トドロクツキに対して一番戦いやすいのがキラフロル+チオンジェンなので、選出。裏2体も自然にハバユイ。トドロクツキがいなければハバカミに代えてヘイラッシャだったが、、、

 

・1ターン目

 初手イエアルマ。困った。とはいえワイドフォース+トリルが本筋のため、当然キラフロルをイーユイバックは選出段階から見えていた筋。実行。

 結果、瞑想トリル。何それ。ワイプの俺がほーん??みたいな顔してる。

 

・2ターン目

 ワイフォでなかったのは予想外だし、そこそこ損をしたが、まだそこまで不利なわけではない。適切にトリルを凌いで、イーユイで殴っていければ十分に倒せる。アルマにカタストロフィ入ってるし。

 相手からするとイーユイの処理優先度が非常に高い。型も見えてないし、トリル下での打点に欠ける。加えてこちらとしてもトリルが切れた後にイーユイで殴って残数を取り返す必要があるので、イーユイは大切にしないといけない。トドロクツキを考えると、できれば襷まで残したい。そしてちらつくのが波動弾の存在。技スペース的にどうかと思うが、イーユイを強く意識するとそうなる可能性はある。

 ということで、イーユイを守る→攻撃→守る→バックで守り切る方針が良い。トリル下でコータスを出されると当然厳しいので、急いでイーユイで殴る必要はない。

 イーユイの行動について深く考えていたらチオンジェンの技について考える時間はなく、とりあえずボディプレスで少しでもグレンアルマを削ることに。波動弾+マジシャが読みの本線だが、炎技についてもケアは必要なので水テラスタルは切る。

 結果、瞑想癒しの波動。癒しの波動の存在も含め、完全に考慮外。やばい。ワイプの俺も癒しの波動撃たれたとき、ガチの苦笑いしてる。正直「こっから2連勝か。。。」とは考えていた。※今回のPJCSライブ大会は最初の3戦で2-1以上すると世界権利獲得

 

・3ターン目

 終わってるなりにやれることをやりたい。

 パっと思いつくのは急所。2ターン目の行動から波動弾がないのは明らかなのでイーユイは必ず動ける。悪の波動の試行回数を稼ぎたい。
 悪の波動のダメージ次第だが、怯みでもワンチャンあるのではないか。だから「トリル最終ターンでグレンアルマを削る→トリルが切れた後、悪の波動で怯ませる→次で倒す」 の盤面を狙うことに挑戦を切り替える。

 とりあえずこのターンは当然悪の波動カタストロフィをグレンアルマ方向。

 結果、ワイフォこの指とまれ。チオンジェンならワンチャン耐えないかと思ったが、珠は当然無理。しかし珠であることは怯みプランの助けになるため、悪くない。そして何より追い風になっていると感じたのは、イエッサンへの悪の波動のダメージ。「これ災い凍える風圏内じゃないか?」と思い、怯みプランが現実味を帯びているのを確かに感じた。少なくとも2ターン目の終わりより希望は感じていた。

 

・4ターン目

 キラフロルとハバタクカミどちらを出すかを長考したが、相手の裏ハバタクカミとトドロクツキを考えると残すべきはハバタクカミ。

 キラフロルで2連守るをすることも死に出しの選出時間中に決めていた。2連守るが成功したら有利になるというイメージはしっかり持っていなかった(しかも実際に2連守るが成功したらむしろ勝ち筋を失っていたと思う)が、とにかく確率によるブレを狙いたかった。

 このターンのニードルガードは読まれる可能性は高いともとれるが、相手視点ここまで有利になっているのに深読みを外してトリルターンを稼がれるリスクを負うことはないだろうということで確実に通る自信はあった。

 悪の波動は執拗にグレンアルマ方向に。急所プランの狙いもあるが、怯みプランがトリル終了後の「凍える風+悪の波動」で実現しそうなこともありイエッサンを倒す必要が本当にないことが大きい。

 結果、ワイフォ癒しの波動。今考えるとイエアルマ側はここ以降この指連打が一番紛れがなく勝てたように思う。

 そして悪の波動のダメージが想像以上に大きい。狙いの盤面に近づくのを感じる。

 

・5ターン目

 4ターン目に決めていた通り。急所プラン怯みプランの両方の助けになるのが、グレンアルマ方向悪の波動。キラフロルは2連守るで紛れを探す。

 結果、ワイフォ癒しの波動。2連守る失敗は仕方ない。後攻で悪の波動が入り、グレンアルマがまたそこそこ削れる。トリルが切れる。2ターン目から想像していた盤面が実現したので、この時点でかなり達成感があったし、ここまでトライしてきた運の要素を考えると十分に勝てるイメージはあった。

 

・6ターン目

 勝負のターン。凍える風急所を引いても良いということで、ハバカミの選択は凍える風。イーユイは当然悪の波動。

 イエッサンバックは関係ない。凍える風を打った後、手を合わせて祈る。悪の波動、怯んだ。幕張メッセで1番気合入ったガッツポーズできた自信がある。

 

・7ターン目

 凍える風でグレンアルマは確実に落とせる。イーユイの技選択は迷いどころだが、オボンの実だった時に悪の波動では怪しそうなので、熱風を選択。

 ここでグレンアルマイエッサンバック。災い凍える風をイエッサンに1耐えられる。前のターンこの指だったら終わってたじゃんと苦笑い。熱風もしっかり当てる。

 

・8ターン目

 裏はハバタクカミだと想定して詰めを考えていたが、コータスだったので力が抜ける。悪の波動でコータスも怯んだのは流石に笑ってしまった。勝ち。

 

・総括

 正直2ターン目までの大損は仕方ない。癒しの波動の存在を考えてもいなかったのは問題ではあるが、、、

 それでも何が勝ち筋かをすぐに整理して次のターンから実行できたのは本当に上手くプレイしたと思う。単なる運勝ちではなく、運を引き寄せたというような感触があった。自分は運要素に真摯に向き合っているプレイヤーだとずっと自負していたので、大舞台でそれを発揮できて嬉しい。

 対戦相手のえ~すけさんは対戦終わった後快く挨拶に応じてくれたし、言い訳することなくプレイングをずっと反省していた。こういうプレイヤーが大好き。

 以上、何の参考になるでもない自分の配信卓解説でした。配信卓のワイプ、面白くていいよね。。。